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心豊かな人となるために ~人生を豊かにする文化・芸術がそばにある生活~
2021-01-18

 2020年、モンゴルの教育界も新型コロナウイルスの影響を受け、20202月の時点で全てオンライン授業に切り替わりました。モンゴルの義務教育段階の教育のオンライン授業はまず、教育・文化・科学・スポーツ省(当時、現 教育・科学省)が、「どのテレビ局で(どのチャンネルで)、何時から、どの学年の、どの教科を放送するか」を発表し、子どもをサポートする保護者、そして子ども達自身もオンライン授業を通して学習を進めていました。私立の学校や大学においてはそれぞれの学校が持っているLMS(学習支援システム)を活用したり、教師ごとにオンライン授業を実施するための様々なツールを活用したりして授業を実施し「学びを止めない」取り組みがなされていました。

オンライン授業のスケジュール(出所:https://gogo.mn/r/0xdmo2021111

 

 そんな中、モンゴル国政府は20201230日に子ども向けの基金「子どもファンド」を設立しました。この基金は、2021年から建設が予定されている子ども図書館、子ども劇場、子どもと青少年の文化とスポーツの複合施設などの建設費に充てられるようです。年末年始には、これに賛同するアーティストが出演する歌番組などが放送され、テレビ画面には寄付の振込先をテロップで流し、寄付金を募っていました。この子ども図書館には未就学児向けや小中学生向けにいくつかの部屋や自習ができる場所、遊びのスペースが設けられ、カフェや会議室なども設けられるようです。そして子ども劇場は、600席を備えた大劇場と150席の小劇場、博物館、そして暖かい季節には外で楽しめる野外劇場も設置予定です。ウランバートル市内にあるガンダン寺の東側にあるTasgany ovooの辺りが建設予定地とのこと。ウランバートル市に住んだことのある方なら、だいたいどの辺かお分かりになると思います。比較的、市内の学校に通う子ども達が訪問しやすく利便性の良い所で、学校以外の学習の拠点の1つとして、この施設が大いに活用されることが期待されています。

(出所:https://gogo.mn/r/3qog2?fbclid=IwAR3_mOj9e_qqxojbVxm51X12w20RHtULRpoW8tTCxJwVRLpILAN8AOVtMks2021.01.07

 ウランバートル市内を歩いてみると子どものための施設、「Хүүхдийн・・・(子どもの・・・)」という建物が多いことに気づきます。これは「子どもは国の未来」という考えなのでしょうか、社会主義時代から国の教育施策の一環なのでしょうか。物の本にはツェデンバル元首相の奥様アナスタシアフフィラトワさんも子どもの教育には熱心だったと記されています。幼稚園やナイラムダルインターナショナル子どもキャンプは、このフィラトワさんの発案によって1970年代に建設されています。こういった建物を見るとモンゴルは、国をあげて子どもを皆で育んできた歴史があるのだろうなと感じます。新しい子ども図書館や子ども劇場の建設にあたって、モンゴルの児童文学作家のO.Sundui氏は、「私の考えですが、本は理解力の基礎です。もし子どもが本に親しむことなく育てば、拠り所がなく(何を基準に判断すればいいのか)分からないまま宙に浮いた状態になるでしょう」(筆者訳)と言っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子ども宮殿                 

国立ドラマ劇場に併設されている子ども劇場 

子ども芸術センター                 

ナイラムダム・インターナショナル子どもキャンプ

 世界中の国で今、オンライン授業を受けることを余儀なくされている子ども達が、早く“四角い画面”だけの生活から解放され、本に触れ想像力や表現力、創造性を育み、劇や人形劇を見て笑って過ごせられる日が一日でも早く来ることを願ってやみません。

 

新型コロナの影響で劇場内での観劇ができなかった2020年夏、演者の皆さんがウランバートル市内を回り、戸外の広場などでイベント開催、人形劇などを披露(写真はモンゴル国立子ども劇場のFacebookより)